ヒトリシズカ

6つの短編からなるミステリー小説。

 

一見全て別々の事件でそれらは解決し、完結した個々の話の様に見えるがこれら全ての事件にある1人の女性の存在が見え隠れしている。

 

その女性は名は静加。これはタイトルにも使われている。

 

彼女が最初に事件に関与したのはなんと八歳の時であった。彼女のセリフで印象的なのは

 

「あたしは暴力を、否定も、肯定も、しない。ただ、利用はする。あたしなりのやり方で、暴力をコントロールする。」

 

これを八歳の子供が言ったのだ。そしてその言葉通り暴力を上手く利用して自分の目的を果たし、生き延びてきた。信じられない。大人すぎる。

 

そんな人生の中でも彼女は守るべき存在を見つけ、最期までそれを全うした。

事件を捜査していた刑事達は静加を捕まえてあげたかった。と口々に言っていたが彼女にはこの最期が相応しかったのではないかと私は思う。

 

彼女は最後の最後に暴力を利用せず守りたいものを守ることができたのだ。

ずっと暴力と隣り合わせで生きてきた。

思えば彼女の人生を狂わせたそもそものきっかけが暴力だった。

 

それと最期の瞬間は死別できたのである。

この物語のラストはハッピーエンドなのかバッドエンドなのか。

 

私はトゥルーエンドと言う方がこの物語には相応しいと思う。