さよなら、ビー玉父さん

「アルファベット、わかるか。それのAとBや。つまり、エー玉はビー玉より偉いんや。」

 

あなたの1番大切なものはなんですか。家族ですか、恋人ですか、お金ですか、権力ですか、それとも、自分自身ですか。

 

これは出来損ないの父親界のビー玉である主人公とそんな父が大好きでたまらない息子の物語。

 

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大人になるということ、父親になるということ、幸せになるということ、どれも正解があるようでない曖昧なものだがこの作品を読むとなんとなく答えがわかったようなそんな気がした。

 

大人の先には、まだ大人になる可能性があるらしい。人間は二十歳を過ぎると自動的に大人のカテゴリに納められその瞬間に望んでもいないのに様々な責任を押し付けられる。大人のゴールはそこではない。心と器を育てていかなければならない。辛いことも悲しいことも幸せなことも全て受け止めきれるくらい大きな器が育った時初めて大人になったと言えるのだ。

 

「大抵の人間は、自分が幸せじゃないと他人を幸せにすることはできひん」これは幸せという存在からずっと逃げてきた主人公のことだ。私は幸せになってほしい人に幸せを与えられる人間になりたい。だからまずは自分自信が幸せになる努力をしようと思った。

 

ラストのシーン、約束の時間に現れない主人公だったがいつか幸せから逃げる必要がなくなるくらいに器が大きく育った時、また息子に会ってほしい。そう強く願った。