ヒトリシズカ

6つの短編からなるミステリー小説。

 

一見全て別々の事件でそれらは解決し、完結した個々の話の様に見えるがこれら全ての事件にある1人の女性の存在が見え隠れしている。

 

その女性は名は静加。これはタイトルにも使われている。

 

彼女が最初に事件に関与したのはなんと八歳の時であった。彼女のセリフで印象的なのは

 

「あたしは暴力を、否定も、肯定も、しない。ただ、利用はする。あたしなりのやり方で、暴力をコントロールする。」

 

これを八歳の子供が言ったのだ。そしてその言葉通り暴力を上手く利用して自分の目的を果たし、生き延びてきた。信じられない。大人すぎる。

 

そんな人生の中でも彼女は守るべき存在を見つけ、最期までそれを全うした。

事件を捜査していた刑事達は静加を捕まえてあげたかった。と口々に言っていたが彼女にはこの最期が相応しかったのではないかと私は思う。

 

彼女は最後の最後に暴力を利用せず守りたいものを守ることができたのだ。

ずっと暴力と隣り合わせで生きてきた。

思えば彼女の人生を狂わせたそもそものきっかけが暴力だった。

 

それと最期の瞬間は死別できたのである。

この物語のラストはハッピーエンドなのかバッドエンドなのか。

 

私はトゥルーエンドと言う方がこの物語には相応しいと思う。

金木犀

2021.9.26.

23歳になった。その日はいつもと何も変わらない朝を迎えて、なんとなくボーッと過ごして、家を出る2時間前に身支度を初めた。秋をイメージしたおろしたてのワンピースに新しいブーツ。いつもより少し手の込んだメイクをして、髪を三つ編みに結んだ。女に生まれて良かったなと思うのは決まってこういう時だ。身支度を整えた私を見て夏らしい服に身を包んだ母は家を出る直前にも関わらず着替えをはじめた。着替えを終えた母を見るとさっきとは打って変わって秋らしいシックなワンピースになっていた。私と雰囲気を似せたかったらしい。私は着替えてきた母の服装の方が断然好きだった。一緒に家を出て電車に乗ってタクシーに乗って辿り着いたのは椿山荘。目的は金木犀をイメージした期間限定のディナービュッフェだった。金木犀を使った料理たちが並び金木犀の香りがするコスメを手土産に持たせてくれた。私は幼い頃から金木犀が好きだった。私にとって香りというのは記憶が結び付いているもので嗅ぐ度同じように過去にその香りを嗅いだ時の記憶が鮮明に蘇る。私の金木犀の記憶は小学校の帰り道だったり、公園で友達と鬼ごっこをしている時だったり、神社をお散歩している時だったり。なんら特別なことがあった訳ではないけれど金木犀の香りだけは懐かしい気持ちにさせてくれる。ディナーを終えた後は椿山荘の有名な庭園を母と2人で散歩した。私の金木犀の記憶にまた1つ今日の想い出が刻まれる。

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無題

いつの間にか梅雨が明けていつの間にか夏休みが終わり、いつの間にか涼しくなっていた。このままいつの間にか寒くなっていっていつの間にか2021年も終わりを迎えるのだろう。

この夏はいつもよりちょっと背伸びをした。

初めて1人で飛行機に乗った。

初めて海の中の魚と戯れた。

初めて海の上を飛んだ。

色んなことを経験した。それなりに犠牲をはらったけれど人生でやりたいことが生きているうちに、できるうちにやれてよかった。

海の中は想像以上に深くて広くて青かった。握りしめたエサに群がる魚はみんな小さくて色鮮やかで美しかった。こんなに綺麗なものが見られるならまたいつかと新たな想いが芽生えてしまった。人間というのはいつまでも欲が尽きない。私は明日もそれ満たす為に生きていく。

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さよなら、ビー玉父さん

「アルファベット、わかるか。それのAとBや。つまり、エー玉はビー玉より偉いんや。」

 

あなたの1番大切なものはなんですか。家族ですか、恋人ですか、お金ですか、権力ですか、それとも、自分自身ですか。

 

これは出来損ないの父親界のビー玉である主人公とそんな父が大好きでたまらない息子の物語。

 

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大人になるということ、父親になるということ、幸せになるということ、どれも正解があるようでない曖昧なものだがこの作品を読むとなんとなく答えがわかったようなそんな気がした。

 

大人の先には、まだ大人になる可能性があるらしい。人間は二十歳を過ぎると自動的に大人のカテゴリに納められその瞬間に望んでもいないのに様々な責任を押し付けられる。大人のゴールはそこではない。心と器を育てていかなければならない。辛いことも悲しいことも幸せなことも全て受け止めきれるくらい大きな器が育った時初めて大人になったと言えるのだ。

 

「大抵の人間は、自分が幸せじゃないと他人を幸せにすることはできひん」これは幸せという存在からずっと逃げてきた主人公のことだ。私は幸せになってほしい人に幸せを与えられる人間になりたい。だからまずは自分自信が幸せになる努力をしようと思った。

 

ラストのシーン、約束の時間に現れない主人公だったがいつか幸せから逃げる必要がなくなるくらいに器が大きく育った時、また息子に会ってほしい。そう強く願った。

ホムンクルス

 

「7日間、あなたに生きる意味を与えましょう。」

 

彼はそう言って主人公に近づいた。

 

 

トレパネーション手術

頭蓋骨の一部を取り除くことによって第六感を覚醒させる。

 

 

彼はそれを研究している研修医だった。名前は伊藤。

派手な色をした髪と顔にはたくさんのピアス。

とても医者とは思えない風貌だった。

 

主人公は名越。

金はあるのに何故か車内生活をしている変人。

 

どうして金があるのにこんな生活をしているんだとホームレス仲間に聞かれた時、「有給を使ってホームレス生活がどんなものかを体験しているんだ。」と彼は答えた。

 

側から見ればとんだ変人である。

しかし彼は記憶を失っているようだった。

 

 

 

胡散臭い医師に胡散臭い人体実験の話を持ち出されたところで飛びつく人間はそうそういないだろう。

 

大金を積まれても名越には金がある為意味が無い。

報酬の入った封筒を突き返されると伊藤は呟く。

 

 

「第六感が覚醒すれば、記憶が戻るかもしれない。」と。

 

手術を受けても成功するのはかなり低確率。

名越はその中に該当する人間だった。

 

人の心の歪み、トラウマが可視化されてみえる。

伊藤はそれをホムンクルスと呼んだ。

 

ホムンクルスが見えるようになった名越は他人のトラウマを解放させていくが、やがて自分のトラウマとも対峙しなければならない状況に陥る。

 

彼は一体何者なのか、過去に何があったのか。

 

ここから先は映画を見て欲しいので割愛。

 

 

 

 

あなたにはトラウマがありますか。

 

 

 

私にはトラウマと呼べるほどのものはないが、消し去りたい過去はある。

 

人によってはそれがトラウマになるのかもしれない。

 

人の数だけ受け取り方や感じ方も存在して、

悩みやトラウマに対しても人によってはそんなのは大したことないと位置づけられてしまったり。

 

 

結局人々は見たいものしか見ようとしないし信じたいものしか信じない。

 

ホムンクルスが見えるようになった名越は心の歪んでいる部分こそが本当の姿であると気づいたのではないだろうか。

 

結果として妻の死に加担してしまった女性と結ばれる名越。

自らの手で手術を施す伊藤。

どちらも不気味なラストシーンだったが、その歪みこそがこの物語の本質なのである。

 

 

無題

 

 

大丈夫とか気にしないでとか言ってしまいがちだし、気づいてないフリもしてしまいがちだし、変にプライドがあるせいで自分の弱いところを見せるのが苦手だし滅多に人に相談事もできない。

 

 

 

自分でも面倒な人間だなとつくづく思う。

 

 

でもそんな私にも本当は大丈夫じゃないんだとか弱音とか自分の弱いところとかも話せる友達が少なからずいる。

 

そういう存在のおかけで今日も私は自分を保っていられるのだと思う。

 

 

the satellites×時速36km

最高以外の何物でもないです。

4ヶ月ぶりのライブハウス。

 

距離は離れてるし20人って少ない人数だけど
みんな本当に楽しそうだったなぁ。

 

久々にあ〜生きてる〜って思った。

大きいスピーカーから音が流れ出た瞬間、

全身に一気に血液が通うようなそんな感覚。

これです、これ。

 

 

無くしてはいけないものだと思います。ライブハウス。

若い頃通ってた大人たちがふらっと帰ってこられるように。

それぞれのあの頃にいつでも帰られるように変わらずにあるべきものだと思います。

 

時速のボーカルがライブをはじめた頃の楽しさと似ててそういうのをもう一度味わうことができてそれに関してはこの状況に感謝って言ってて

本当に今って何をしても楽しいんだよね友達と会ったりどこかに出かけたり普通の楽しいが今はめちゃくちゃ楽しい。

 

久々にいい1日だったな。まだお昼だけど。